しりたい情報部

デザインや地域のことを知るための活動です。
勉強会や、ワークショップ、見学会、街歩きなど、デザイン周辺で役に立つ学びの場を、
自主的に企画し運営していきます。

「第4回エリアムーブメント研究会/テーマ:まちと学び」レポート


 第4回エリアムーブメント研究会のテーマは「まちと学び」。今回のゲストは近藤ナオさん。「学び」をキーワードに、渋谷の多様な人たちの交流をはかるシブヤ大学は、そのネットワークを日々拡大し、今全国から熱い視線を集めています。近藤さんはシブヤ大学の設立からかかわり、企画運営の中心のひとりとして、現在は、シブヤ大学の姉妹校づくりのために、全国を飛び回っています。

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 まずは、近藤さんがシブヤ大学の設立にかかわられたバックグラウンドから始まります。

 「僕は建築畑の出身で、仕事で扱ったハード主体のまちづくりから、山梨で農や自然エネルギーについても学びました。そうしたなか、都会でソフトメインのまちづくりを考えてみたい、というのが最初の動機です」

 シブヤ大学の最初の発想は、渋谷区議員さんからの「まちを教室に渋谷区立シブヤ大学があったら面白い」だったそうですが、なかなか行政だけでは難しいようです。そこで民間による立ち上げを推進していくことになり、そのうちのメンバーの一人が、近藤さんでした。「シブヤ大学の活動は僕の気持ちイイところに触ってる」と、近藤さんは続けます。

 「誰でもつながれる、セーフティネットのような環境づくりが出来てきたのではと思ってます。"学び"というキーワードが何でも取り込む力を持っていた結果、いろんな人が集まり、人肌感のあるつながりが生まれていったのだと思います」

 シブヤ大学の大きな特徴の一つとしては、「大学」といいながら、入学金や授業料が全て無料という部分です。「毎月第三土曜日はシブヤ大学の日」として、渋谷区内のあらゆるスペースを教室にユニークな授業を展開しており、現在の登録者数(学生数)は17,000人にものぼるそうです。生涯学習系の活動と捉えられやすいシブヤ大学ですが、近藤さんはまちづくりNPOとしての側面を強調します。

 「シブヤ大学の英名はSHIBUYA UNIVERSITY NETWORKの通り、交流の"場"づくりをしています。授業も、同じ趣向性を持った人どうしが出会う"場"といえます。だから、授業は座談式の講義というよりは、先生も生徒もお互いにコミュニケーションできるワークショップ形式のものが多いです。中には、出会った人たちが集まって生まれた新しい活動として、シブヤ大学の公認「ゼミ・サークル」として積極的にフォローしているものもあります。授業が活動をアピールするきっかけとなり、企業から仕事を委託された先生がシブヤ大学を「メディア」としてうまく使ってくれている例もあります」

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いきいきと語る近藤さんのお話に引き込まれます

 2006年の開校以来、コアメンバーとしてシブヤ大学を運営してきた近藤さんですが、シブヤ大学の成長に応じて役割を変化させ、現在は「うちの地域でもシブヤ大学のような形で立ち上げたい」と全国各地からのオファーに日本中を飛び回っています。シブヤ大学の運営の仕組みと、大学を立ち上げる際のポイントを教えて下さいました。

 「NPOはすごい勢いで人が入れ替わるため、人のマネジメントが大事になります。「何をやるか」より、「誰とやるか」が重要で、熱心に取り組める学長を中心に、それぞれの分野のプロを8~12人くらい集めてコアメンバーを組織できるかどうかが最初のポイントになるでしょう」

 「シブヤ大学の場合は自立したNPOを目指しているので、有給のスタッフをおくようにしています。また、行政との協力や支援もありますが、地元企業や地元メディアとタイアップしながら、資金調達や広報を行うよう工夫しています。また、ブランドマネジメントも重要です」

 右肩上がりに成長を続けるシブヤ大学。最後に、これまでの活動からみえてきた課題と、これからの活動の展開について話していただきました。

 「今年開校する東京にしがわ大学を始めとして、名古屋や札幌のような"ハブ"となる中心都市から、どんどん大学を立ち上げています。将来は、それらの都市が中規模の近隣都市での大学の立ち上げをサポートし、Jリーグのような「全国大学ネットワーク」としての形ができたら良いと思ってます」

 「登録してくれる人が増えてきている一方で、授業が取りにくくなってしまっているなど、課題もあります。ただ、キャンセルする人もいるため、1日に数回チェックしていると授業を取れる場合もあります。現在は、USTREAMを使って授業をオンライン化したり、恵比寿キャンパス・原宿表参道キャンパスのようにエリアを絞って、単位を小さくする試みを始めています」

 「シブヤ大学に登録していない人も交流出来るハードの取り組みとして、区内の保育園や幼稚園などを利用して子供と触れ合えるまちの拠点をつくりたいですね」

 他己紹介などのワークショップ手法を交え、終始笑顔で話す近藤さん自身が、人とのコミュニケーションの達人であることを体感できる会となりました。会の後は、二次会へ足を運び、参加者どうしの交流がはかられました。

 ハードからソフトのまちづくり、そしてまたハードへと、精力的に活動される近藤ナオさん。次は何を私たちに見せてくれるのか、これからも目が離せなさそうです。