しりたい情報部

デザインや地域のことを知るための活動です。
勉強会や、ワークショップ、見学会、街歩きなど、デザイン周辺で役に立つ学びの場を、
自主的に企画し運営していきます。

「第3回エリアムーブメント研究会/テーマ:ストリート」レポート


 「ストリート」というテーマで行われた第3回のエリアムーブメント研究会。これまでとはちょっと違う雰囲気から、とても魅惑的な内容を想像しましたが、想像以上の話が次々と飛び出し、いろいろな驚きと発見がありました。

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 話をしてくれたのは寺井元一さん。寺井さんはアートやスポーツなどといったジャンルを切り口として、公共の空間を演出する活動をしています。まちづくりとクリエイティブを組み合わせた「まちづクリエイティブ」という斬新な切り口から、日々邁進しています。

 寺井さんの活動の発端として、街にある壁の落書きを消す活動をしていましたが、その中で「リーガルウォール」という発想に行き当たったといいます。これは、もっと表現者の創造力を発揮させ、活動の場を作っていこうという考えからきています。そこには公共空間というものをどう利用していくか、どういう理解をしていくか、について考えていくものとなっているようです。

 そこから、グラフィティの話に少しずつ入っていきます。グラフィティの活動では、ビルオーナーや行政、警察、まちの関係者など、色んな当事者との関係性が出てきます。そのコミュニケーションをどう調整していくかが大事な役割だといいます。

 ところで、グラフィティの世界では、色んな秩序やルールがあるようです。タグ、スローアップ、ピース、などなど、普段聞き慣れないコトバが次々に出てきました。どれもグラフィティの分類のコトバのようです。そのコミュニティの中で誰が一番目立っているか、誰が一番スゴいかというのを表現するスタイルが色々あるといいます。また、クルー(同志)のネットワークも様々あり、それぞれ独特な関係性を持ちながら活動しているようです。

 グラフィティの歴史の話も出てきました。1960年代から70年代にかけてヒップホップカルチャーが出てきましたが、1970年代にニューヨークで地下鉄のビルボードなどに落書きをするようになってきたのが発端といいます。TAKI183、キースヘリングといった人物の話から、最近では「OBEY」と書かれたポスターが街中に貼られていたり、「BANKSY」というステンシル(型紙)を使って観光名所や美術館などにメッセージを残している活動家がいるという話になりました。ストリートカルチャーも色んな変化を遂げ、次第にアートやスポーツへの展開、ファッションの結びつきを強くしていきました。

 一方、日本におけるストリートの要素は、複雑に、自由に、独自に活動しているといいます。寺井さんの活動の一つに、ストリートバスケのプロジェクトがありますが、こうした活動も、ストリートカルチャーの経緯を踏みながら、身体性を備え、可能性を拡大しているといえます。また、こうした活動の中で、大事な要素は「波動 (Vibes)」であるともいいます。"ヤバい"、"アツい"といった共鳴が、リアルな身体性の流れを活性化させるものであるといいます。

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"アツくヤバい"話が盛りだくさんの寺井さん

 最後の方には、公共空間の可能性についての話になりました。現在、公共空間を活用するには様々な規制があります。今は特に規制が厳しく、あれもダメ、これもダメ、といった状況が非常に多く見受けられます。河原でうかうかキャッチボールもできない感じです。

 例えば、岸和田のだんじり祭りは、かなり無謀な行為が含まれていますが、こうした地域にはまちの寛容性があるといいます。地方都市にはまだこうした可能性が多く残っていて、こうした規制とは違うベクトルの可能性が模索できるのではないかといったように、期待のもてる部分もあるようです。

 寺井さん自身も松戸で行っている壁画アートの活動を通じて、アーティストや起業家が活動しやすい空間づくり、公共空間の活用について考え続けているようです。

 「時代とともにリスクの負い方が昔と変わってきて、行政がなるべく責任をとらなくなってきた」、「多様化といいつつもそれは自己中心的な考えの結果生まれてきている」、「個人の拠り所がなくなってきているのでは」、といった感想や意見などが参加者から聞こえてきました。

 こうした時代の変化の中で、ストリートの在り方を模索しながら活動している寺井さんの視点は、どこか行き詰まっている現代のまちのありように、一石を投じる可能性を非常に強く持ち合わせているのではないでしょうか。