「第1回エリアムーブメント研究会/テーマ:商売」レポート
まちを彩る生活や社会の中で、いろんなやり方や考え方で活動している人たちをお呼びして、毎回テーマを挙げながら、地域の魅力について知り、学び、考え、議論する「エリアムーブメント研究会」。高円寺のcafe apartmentで活動をすることとなり、その第1回目が2010年1月20日に開催されました。

第1回目のゲストは橘昌邦さん。「商売」というテーマでお話をしていただきました。橘さんはアフタヌーンソサエティという会社で「地域再生」「建築・不動産」に関する仕事をしています。神田でタウンプロデュース&マネジメントの仕組みを実践する一方、過疎地の再生にも積極的に取り組んでいます。
今回は、橘さんがこれまでに関わってきた仕事の流れに沿って「まちづくりの基本」「過疎地で学んだこと」「都心で学んだこと」というカテゴリで話をしていただきました。その中には、まちづくりを進めていくためのキーポイントになる印象的なコトバが沢山ありました。
「まちづくりの目的は"その地域で生活する人を幸せにすること"」
「理念より実利」
「素人化した商売人たち」
「百商(ひゃくしょう)が地域経済の足腰を強くする」
「街をレイヤーで捉える」
「目の前を歩いている人だけを客だと思っているのが間違い」
「商店街をやめるという選択肢もある」
まちづくりは、誰を幸せにするか、そして、そのためのソリューションを考え実施するのが"まちづくり"であるという橘さん。(でも実は、"まちづくり"という言葉には抵抗もあるようですが)人の気持ちが動かない限りまちは動かない、だからまちづくりを成功させるには、「地域の人間関係」を把握する必要があるといいます。
ただし、理念だけではダメ。ステークホルダーを動かすためには理念よりも実利の方が良い場合もあり、結果としてそれでまちがよくなればいいという考え方もあるといいます。
一方で、過疎地、都心問わず、多くの商店街では商売の教育が欠如していて、プロとしての知識・スキルがなく退化してしまったタイプと、勉強しないままに家業を継いでしまったタイプがあり、商いに関する再教育は必要のようです。
例えば築地市場では、自分たちで経営の勉強をしたいと言ってきているというケースがあるようです。でもあまりに難しい経営の知識というよりは、本当に基礎から始めたいというニーズもあるといいます。

まちは決して一つの側面では捉えきれません。地域経済を強くするには、バランスよく色々な商売を持つことが重要。橘さんは「百姓」ならぬ「百商」という独特の表現を用いて話をしました。また、例えば産業連関表をみながら、回り回って経済効果が生まれる可能性をつなげていくことも大事だといいます。
まちには、価値観の異なるレイヤーが存在することを認識し、それらがぶつかりあいながらも、お互いの違いを認識し、交流する要素を与えることで街には活気がうまれてくるということが大事な視点だといいます。
また、商店街であれば、商店街に来る人だけが客ではなく、商店街自体の活性化なのか、自分の生活を成り立たせたいのか、進みたい方向を見極めることも大事な要素であるといいます。時には商店街を辞め、人口を増やしながら、商売が必要とされるのを待つという選択肢もあるという話もありました。
まちづくりは理念だけでは動かない、人が巡りながら、ぶつかりながら、そこに情報が回りお金が回り、それらがうまくスパイスされることで、地域をつくり、再生していくことが大事だということ。"商売"というテーマに対する橘さんの様々な視点や考え方を通じて勉強になりました。長年現場でまちづくりをしてきたからこその視点も多く、とても興味深いお話でした。
橘さんのお話の後には、参加者のみなさんからの自己紹介・質問タイムをもうけ、それぞれの立場から、橘さんに様々な意見・質問があげられました。その後は遅い時間まで参加者同士での交流があり、密度の高い時間を過ごしました。








